ボードゲームレビュー


ロンドン ☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 

ロンドンの大火の後,都市を復興しなくてはなりません。都市の区画を確保し,様々な建物を建築して発展させていきましょう。最も勝利点を得たものが称えられます。

ロンドン

ちまたの評価が高く,早くプレイしたかった作品ですが,カードの日本語化もでき,やっとプレイすることに。今回は3人でのプレー。ボードはロンドンの地図と,カードディスプレイ。手持ちはカード6枚とわずか5ポンドに後々やっかいな貧困ポイントも5ついてきます。

ロンドン

手番には山札かカードディスプレイから1枚カードを引いた後,4つのアクションのうち1つを行います。1つが,建物の建築。自分の前に建物カードを置き,置いたカードと同じ色のカードをカードディスプレイにも置かなくてはいけません(例外もいろいろありますが)。これが1つなかなか悩ましいところ。カードの下に,後で活性化すると得ることができるお金や勝利点などが書かれており,また,ゲーム終了時の勝利点が入っているものもあります。どれを自分の建物にしてどれを捨てるか,後で誰かが必要になるものは捨てたくないし・・・。1度に望めば何枚でも置くことができます。一挙に5枚建物を並べました。

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手番のアクションの2つめが,置いたカードの活性化。つまり,さっきのカードを置くだけでは,直ぐの効果がある一部のカード以外は,この活性化をするまで役に立ちません。活性化すると(お金が必要だったり,捨てカードが必要だったりするものもあり),お金や勝利点が入り,また貧困ポイントを減らすなど良いことがあります。使ったカードの多くは1度でおしまいで裏返します。これだけ手に入り(貧困は1個捨て),右の3枚は裏返されます。

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ただ,活性化するのは良いことばかりではなく,自分の建物としておいてあるカードの山の数と手札の数分の貧困ポイントもたまってしまいます。都市の区画を取っていればその分減らせますが,この貧困ポイントは結構厳しいです。なので,自分の前の建物もあまり数を増やしすぎるのも考え物。増やしたくなければカードを重ねていくこともできるのです。もちろん下になったカードには効果はありません。ここでは6貧困ポイントもらうはめに。

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手番のアクションの3つめが都市の区画を確保すること。必要な金額を支払い,自分の建物カウンターを都市の区画に置き,その区画を確保します。これで,数枚のカードとゲーム終了時の勝利点,貧困ポイントを減らす効果があります。8ポンドで最初に置くべき地区に建物カウンターを置きました。カード2枚とり,最後に勝利点6が入ります。そして,もう一つのアクションは単にカードを3枚補充することです。

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こうしたプレーを繰り返しますが,カードの種類や枚数はとても多く,いろいろな効果もあって,置くもの消費するもの,どこで活性化するかなど,考えどころが盛りだくさんでとても楽しいです。ここでは6カ所まで建物の場を伸ばしています。貧困ポイントのこともあり,やたらと広げすぎるのもできません。

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都市の区画は今4カ所おさえていますが,これも貧困ポイントを減らすためにある程度押さえておかなくてはなりません。後半地下鉄カウンターが置かれると2点ずつ勝利点も加算されます。

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手前の黒いのが貧困コマ,ここでは12もあり困ったものです。10£と見えるトークンは借金,ゲーム中お金は実に厳しいので借金なしではやっていけません。10£借りて最後に15£返しますが,返せないと7点ずつ減点という罰も。

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終盤,貧困ポイントを減らすのに有効な下水道は1枚だけ置いてあります。地下鉄も引き,カウンターも置けそうです。都市の区画は三つどもえの取り合いになっています。

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山札の最後が引かれたら,残りのプレーヤーも手番1回行いついに終了。向こうの青は最後に,救貧院を使ってとんでもないことをやってきて,カードディスプレイには貧困者の山,一気に貧困ポイントを減らされてしまったのは大きな痛手でした。最後貧困ポイントが最も少ないプレーヤーの,貧困ポイント分マイナスになるので,そこは減点なしになり,他のプレーヤーは引いた残りが減点の対象の貧困ポイントになります。この減点がかなりきつい。プレーヤー全員が似たような貧困ポイントならともかく,今のようにぐっと小さいと,どんと減点(10貧困ポイントで−15点など)。終わってみれば大差で青の勝利。実に残念!

最初,ルールを見ていただけではよく分からなかったのですが,やってみるとかなり白熱しておもしろくプレイの満足度も高いです。カードの数が多く,効果もたくさんあって大変ですが,じっくり確認しながら作戦をねって進める楽しさがあります。お金と勝利点と貧困ポイントが絶妙に絡んできて悩ましいことこの上ありません。貧困ポイントが一番目の鍵,これが小さくできるのは非常に有利に展開できることが分かりました。それから借金が2番目の鍵。借金しないとなかなかやっていけないのですが,最後返済できないと−7点喰らうのも大きく,収入の道筋が少ない分気をつけなくてはいけないようです。評判通りの優れた作品だと思います。
※2011.5

ロンドン(London) ゲームデータ

ロンドン
○デザイン Martin Wallace
○発  表 2010年
○メーカー Mayfair Games
○2〜4人用 約90分
○難易度  やや高め
○アメリカ・アマゾンで購入(約44$)