ボードゲームレビュー


バンコクの運河 ☆☆☆☆☆☆☆ 

 タイの商人たちがボートで乗り込んで水上市場を開くこのバンコクの運河は活気と賑わいにあふれている。水上市場のどこに自分の舟をすべり込ませるかが市場での商いを左右します。市場のできと最終的に持っているストックで一番の運河の商人になるのです。

バンコクの運河

 運河がいくつかの区画に仕切られており,各区画に3隻までの舟を配置することができます。初期の配置場所が決まっており,そこに自分の舟を置いたらゲームスタート。3人でのプレー。

バンコクの運河

 手札としてボートを4隻もちます。ここから1隻を運河に決まりに則って配置していきます。あとあとの得点計算を考えながら・・・。ボートにはいろいろな商品が描かれていたり,中立の商人が乗っていたり,特別な舟もあったりします。

バンコクの運河

 舟は他の舟に隣接するように配置。誰も乗っていない舟なら自分の駒を置いて所有できます。

バンコクの運河

 パラソルのようなルクパットマーカーがついた舟を配置すると,手前の得点カウンターを進み,その得点がもらえます。さらに,カウンターがルクパットマーカーがついた場所に止まると直ちに市場の得点計算となります。

バンコクの運河

 この得点計算がなかなか悩ましい。黒い市場の主の駒を自分の舟を含む4隻の舟の中央に置いて,得点を数えます。黄色い小さな丸のバスケットの数×自分の商人駒が得点,しかも自分だけでなく他のプレーヤーにも得点が入ります。ここでは,自分の黄の駒はバスケット5つ×2個で10点,赤が5点といった具合。ただし,計算した自分の舟を1隻取り除き,手元に置いておきます。これによって次の得点計算の条件が変わっていくので,誰がどこから得点計算を進めるかで,得点の流れが大きく変わっていくのが面白い。また取り除いた舟の商品で最後に点数も入ります。

バンコクの運河

 こうして取り除いた舟を貯めていきます。同じ商品を積んだ舟が多いほど高得点。こんな風にばらばらでは高得点は望めないのも悩ませます。

バンコクの運河

 普通の商品の舟の他にこの中央にある泥棒や査察,飯屋といった特別な舟もあり特殊効果も持っていて,いいアクセントになっています。(舟を奪う,それを防ぐ,得点を2倍する)

バンコクの運河

 ルクパットマーカーが最後のマスに着いたら,最後の市場の得点計算です。つまり,ルクパットマーカーがある舟を持っている場合,自分でゲームの終了のタイミングをある程度コントロールすることも可能。ぎりぎりまで有利な場所に舟を置いて終了に持ち込みたいところですが。

バンコクの運河

 最後も順番に市場の得点計算をしながら舟を撤去し,集めた商品の得点を加算してゲーム終了です。自分は魚4隻で10点が大きい得点でしたが,赤がナスの舟を6隻集めて21点加算するなど,大きく引き離されてしまいました。

 地味に面白いです。箱の見た目も地味で,あまり話題にはなっていなかったようですが,タイル配置がなかなか悩ましさ満載の好きな作品です。舟は一つの区画に3隻までしか置けない。得点計算を考えて,自分の駒やバスケットの数を多くしたい。得点計算の順番で,得点できるはずの舟が取り除かれてしまい,得点計算対象から外れてしまう・・・。などなど相手との思惑の絡みも結構あります。ゲームの終了もある程度プレーヤーの意思にゆだねられるので,いつ終わるかという土壇場のやりとりも盛り上がっていいです。全体に見た目がぱっとしなくて損をしているような,惜しい作品です。見た目で引かずに是非プレーを!
※2013.6.15

バンコクの運河(Bangkok Klongs) ゲームデータ

バンコクの運河
○デザイン Martin Schlegel
○発  表 2010年
○メーカー dlp games
○2〜4人用 約60分
○難易度  中ぐらい
○ゲームストア・バネストで購入