ボードゲームレビュー


イル・ベッキオ ☆☆☆☆☆☆☆ 

 フィレンツェを牛耳るメディチ家に対抗して新たな指導者となるべく奮闘します。フィレンツェにつながる外部地域を支配したり,フィレンツェの議会を支配したりして貴族の地位を高め権力点を得よう。

イルベッキオ

 4人でのプレー。仲買人駒や自分たちの一族駒などの初期配置をします。ゲーム中ずっと効果がある市議会タイルも1枚持ちます。このタイルの威力が結構侮れませんでした。最初の一族駒は4個。彼らがトスカーナ地方を巡り歩き,奮闘するのです。

イルベッキオ

 自分の一族駒は,必要な紋章や道具を得るために仲買人駒がある街に移動し,必要なものを手にいれます。手に入れると仲買人駒は次の街へ逃げていってしまうし,一族駒も一働きすると休んでしまうのが普通(道具でそうしないようにもできますが)。外部地域を支配するには,それに見合った紋章を用意しなくてはなりません。

イルベッキオ

 うまく紋章を手に入れ,お金もあれば外部地域へ出向いて影響力を発揮できます。ここは,ベネチア。早くいくほど必要なコストは安く,得られる権力点は大きいのです。そのかわり一族駒はそこへ行ったきり戻っては来ません。まずは簡単に2金で,5点を確保。3カ所の外部地域へそれぞれ一族を送り込んでおくことも最終得点のために必要。駒を置くと,何かと便利なタイルも手に入ります。

イルベッキオ

 中央はフィレンツェの議会を示していて,ここにも一族駒を送り込みます。有利になるタイルを手に入れたり,最後に得点になるタイルを手に入れたりできます。議会に入れるためには巻物トークンが必要で,これも仲買人から手に入れるのです。

イルベッキオ

 仲買人目指して行ったり来たり,移動にはコストもかかりますが,必要なものを手に入れるためには移動するしかありません。ごく希に偶然仲買人の方から来てくれることもありますが・・・。議会や外部地域にいってしまった一族駒を補充するにはダイスを振って,新たな駒を呼び寄せます。なるべく多くの駒がいた方がもちろんいいです。緑が,初期タイルの効果で,休んだ駒を復活させる度に,ダイスを振って駒を置ける効果のタイルを持っており,最終的にはその数に敗れたのです。

イルベッキオ

 自分はあまりチップを豊富に確保できる移動が難しかったので,右下の高得点になる教皇領をまず先に狙って進めました。ここは最後の得点が高いのです。この段階で18点分確保。

イルベッキオ

 一族駒が一定の場所に置かれる度に,メディチ家の紋章がめくられ,ちょっとしたマイナスイベントがおきます。そのチップがなくなるとゲームは最終ラウンドへ。最後に2アクションできることをしたら終了です。いつ終わりそうなのかは,やはり把握して準備しておかないといけないですね。

イルベッキオ

 最後の2アクションは続けて行えるので,一番優位にできるように相当悩みます。最後にまだ駒がなかったミラノにも駒を置くことができ,それなりに得点となる要素は押さえていい勝負になると踏みましたが,どうでしょうか。見えてる得点以外は,最後まで得点計算をしないので,分からないのです。

イルベッキオ

 最後に駒を1個使って得点計算。教皇領の大量得点は大きく効きましたが,駒の数に物を言わせた緑に,何と1点及ばず・・・!いやはや惜しかったです。

 いかにもなシステムで安心して楽しめる一作です。駒の移動で一喜一憂したり,より早く高得点な場所を確保するための競争をしたりと,悩ましい展開も十分です。突出した魅力はないかもしれませんが,トスカーナを巡り歩く一族駒となって,雰囲気を感じながらじっくり楽しめる,自分好みのゲームです。
※2013.5.24

イルベッキオ(Il Vecchio) ゲームデータ

イルベッキオ
○デザイン Rüdiger Dorn
○発  表 2012年
○メーカー Hall Games
○2〜4人用 約60分
○難易度  中ぐらい
○といず広場で購入