ボードゲームレビュー


リールの召使い(Haspelknecht) ☆☆☆☆☆☆☆

 石炭が初めて見つかった頃のルールの炭鉱をテーマにした物語。露天掘りから地下への採掘へ、たくさんの石炭を掘り出し、発展タイルを上手く生かして得点を増やします。

リールの召使い

 アクションの順番や内容を表すボード(春夏秋と同じようなアクションが3回、冬に精算のようなフェイズ)、ヘクスのタイルを組み合わせた開発タイルのボード、そして左側にアクションディスク選択するボード、さらに、各自にプレーヤーボードがあります。

リールの召使い

 袋からランダムに取り出しアクションディスク・プールに並べるアクションディスク。3色それぞれ使い道が違います。黄色は食糧系、茶は木材系、黒は石炭系。ここで、左側のプールを一カ所選んで、そこから1色のディスク全てを取ります。このとき4枚以下だと、2度目に取るチャンスもありますが、最大でも合計5枚までしか取れません(もし、最初から1色で6枚なら6枚取ることも可能ですが、一度もそうはなりませんでした)。

リールの召使い

 取ったディスクを自分のボード上のワーカー達に割り当てていきます。前半は、左上の露天掘りの石炭しか取れません。個々が枯渇すると地下へと採掘が伸びるわけです。使えるワーカーは最初は3人。元々農場なので、そこの農夫と農場の労働者、さらに露天掘りで使える採炭夫です。食糧を得る=冬に地代の支払いに充てたり、他のワーカーに充てたり、木材を得る=炭鉱を支える柱に使う、抗水除去や石炭掘りに=水が多いと石炭が掘れません、そして農夫だけは開発タイルを獲得できるアクションも。

リールの召使い

 開発タイルは最上段はどこでもいいので獲得し、基本そこから繋がるように確保していきます。ただし、繋がっていなくても他プレーヤーが既に確保していれば、少し貢いで自分も置くことが可能。どれも1人独占ではなくて全員確保できます。早いほど勝利点がありますが。開発タイルはお金や食糧をもらう即時効果、自分の農場に加えて効果が出る建物、ゲーム中1回だけ使える貴重なタイルがあります。しかも、終了時にここの取り方次第で勝利点が増えます。ここは、最初こそ2枚のアクションディスクで獲得できますが、下へ行くほど必要なディスクの数も増えていき、こちらばかりに注力していると、肝心の石炭採掘ができないなんてことにもなるので、悩ましいかぎりです。

リールの召使い

 冬の写真が撮ってなくてだめですが、春夏秋と掘った石炭の数に応じた得点がもらえ、地代を支払い(これがキツい、貴重な食糧やお金がなくなります)、さらに年末に保管できるアイテムはたったの1個(他の建物で増やすことは可)。そうして次の年へといき、わずか3年間の勝負です。だいたい1年目の終わりか2年目の前半で露天掘りは掘り尽くすので、そこに新たなワーカーのタイルを置いていよいよ地下の鉱山へ。

リールの召使い

 新しいワーカーの炭鉱夫は一度に3個石炭を掘る優秀な人、しかし、貴重な食糧かお金じゃないと働いてくれません。そして一番左のゲームのタイトルにもなっている”Haspelknecht”は、本来の意味は石炭を地下から地上へ運ぶ人(巻き上げ労働者?)、この人が働かないと地下で掘った石炭を地上に持って来れません。このあたりのアクションをどう組み合わせていくか、最初に確保するアクションディスクや手持ちの食糧・お金との厳しい計算が頭を悩ませます。支柱になる木材を設置しないと先へ掘り進めないのも大変です。

リールの召使い

 開発タイルの後半は、結構強く、石炭をお金や食糧に換えるもの、即時でも3金ももらえるもの、さらに、下の方の特定のタイルを確保していると、石炭を掘った鉱山の数に応じて得点が入るものなどがあり、こちらもうまく確保していかないと点数が伸びません。

リールの召使い

 こうして3年間掘ったらゲーム終了。トップのShugは、全て掘り尽くした上に、開発タイルの取り方も上手く他を引き離しての勝利。自分は大きく引き離されての敗北・・・。

 執筆時点では国内発売はされていませんが、テーマが渋いから?プレイしてみるとかなり気に入りました。ルールを訳している間は結構意味不明なところも多かったですが(独特な単語が多い)、プレイしてみるとやることははっきりしていて、分かりやすく、悩ましさも十分です。最初のアクションディスクの取り合いで、できるアクションが決まってくるので、何を取るのか慎重に考えないと無駄もできてしまいます。開発タイルも重要で、特に3段目4段目は一番乗りで確保すると3点、4点といった大きな点が入るのもかなり強いです。最終得点の取り方にもいくつかあって、なかなか上手くは組み合わさりませんが、分かりやすいルールと十分すぎる悩ましさが楽しめるゲーマーズ・ゲームです。「重すぎない」のが自分にはちょうどいいですね。
 ところで、タイトルが現状WEBで探してみるとリールの召使いとなっていますが、Haspelknechtを厳密に訳すと巻き上げ労働者といった感じです。巻き上げは、地下で掘った石炭を地上に巻き上げて運ぶこと、そういう仕事を専門にする炭鉱労働者ですね。日本語ルールもアップしてありますので、どこかで入手できたら是非!
※2017.8.18

リールの召使い(Haspelknecht) ゲームデータ

リールの召使い
○デザイン Thomas Spitzer
○発  表 2015年
○メーカー Capstone Games
○2〜4人用 約85分
○難易度  やや重め