ボードゲームレビュー


フィレンツェ ☆☆☆☆☆☆☆☆ 

美しき街,フィレンツェに壮麗な塔を建築しよう。高いほど高得点,バルコニーがあると追加で得点も。ただし,建築作業は厳しく,休んでいるとすぐ朽ち果ててしまいます。

フィレンツェ

美しく描かれたボード,各色3階から8階までの塔を建てることができます。一部はふさがって作れないし,一部はバルコニーつきの豪華な塔を求めています。毎ラウンド,下に並んでいるカードと建築資材を1組取ります。右へ行くほどコストがかかります。しかもカードの内容は結構不利益になるものが多いのが厳しいところ。

フィレンツェ

一番左の0コストのカードはお役立ちカード,その右はコスト1かかる自分の塔を1階層分こわすというカード。自分が立てたい塔の色と,カードの内容,そのコストなどを考えてどれかを取ります。

フィレンツェ

取った資材でマイボード上に建築。ここでも建築コストがかかります。3個以上資材を使うと,必要コスト(これも資材で払う)がどんどん上がります。しかも,このとき,建築中の塔は完成させるか1個分でも増築させないと,つまり何も手を加えないと,朽ちて取り壊しになってしまうという厳しさ。

フィレンツェ

塔の建築は,たとえば緑の塔の4層を築いて完成。その場所の得点を得て,封蝋で同じ塔は作れないようにします。高い塔ほど高得点だし,最初に5階以上で作るとボーナス点もあるのですが,その色の駒の確保が難しいとつい低くても出してしまいました。

フィレンツェ

今度は黄色の6階建てをつくり,初めての6階建てだったのでボーナスももらいました。しかし,向こうに青の高い塔が見えているのが脅威です。

フィレンツェ

カードはすぐ使うもの,好きなときに使うもの,ずっと効果あるもの,最後に効果があるものなどで,マイナス効果のカードも多いのがつらくて悩ましい選択です。またあるカードの効果がないと手札や塔のコマに数制限があるのもつらいです。

フィレンツェ

得点の高い紫の塔も作りました。バルコニーがある高さなのでボーナス点もついています。右に見えるカードは教会系の特殊カード,一定の条件の建築をすると場から破棄されます。

フィレンツェ

この左の倉庫のカードは必需品,手番後,資材10個,カード5枚までという制限を永続的に緩めてくれるので絶対欲しいカードです。

フィレンツェ

誰かの封蝋7個が塔を完成させて置かれたら,あと1手番ずつ残りのプレーヤーが行ってゲーム終了。色ごとの最多ボーナス点などを加算しますが,白や青で高い塔を建てて高得点をとっていた青がぶっちぎりの勝利,マイナス点カードを抱えてしまった赤は大きく後退,自分も最後ボーナス点で追いましたがまったく追いつけずでした。

まずカード選択が悩ましい。いらないカードばかりで,コストもかかるときにどこを引き取るか。その後に建てる塔のことを考えて必要な資材があるカードを取るのですが,つらい選択の場面もよくあります。強い条件として,毎回,建築中の塔には1個以上資材をのせて進めなくてはならないというのが効いています。できないとその塔は朽ちて廃棄されてしまいます。青い塔を建てているのに,手持ちに青い資材がないとこわさなくてはならないのです。悪いカードの効果で相手を弱らせつつ(自分にも影響するのが多いが),特に階層が高いかバルコニーのある塔をつくって,高得点をどこかでしっかり取らないと勝てません。3人プレーでは7個までしか塔はつくれないので,どこで終わらせるかも考えながらの悩ましい時間を過ごすことができます。あまり今までには見ない感覚で時々ふとプレイしたくなるそんな味わい深い作品です。
※2011.9.9

フィレンツェ(Firenze) ゲームデータ

フィレンツェ
○デザイン Andreas Steding
○発  表 2010年
○メーカー Pegasus Spiel
○2〜4人用 約60分
○難易度  中ぐらい
○あみあみで購入