ボードゲームレビュー


アルバ・ロンガ ☆☆☆☆☆☆☆☆ 

それぞれが古代の強力な都市国家の王となり,より多くの小作農を引き入れ,より多くの神への記念碑を建設しよう。最も繁栄する国家こそが唯一の強力国家となるのです。

アルバ・ロンガ

3人でのプレー。各自自分の国家のボードを持ちます。中央には全体の市場となるボードも用意。国家には最初はそれぞれ8個の小作農駒があります。目的は小作農を16人以上持ち,記念碑10個建てること。道のりは遠いです。

アルバ・ロンガ

国家にあるのは,兵舎,市場,石切場,神殿,そして穀物畑。兵舎用に戦闘カードもあります。1年を種まき期と収穫期に分けてプレイし,収穫期のみ穀物畑が使えます。1年たったら人口の調整をして,勝利条件の確認。

アルバ・ロンガ

最初は手持ちの小作農駒を働かせたい場所に配置します。所謂ワーカープレイスメント的な感覚。4色のダイスを転がし(このダイスが大きくて柱体なので扱いにくいのが難点),一つを選んで目の数まで駒を配置します。配置の順番は少々独特で,まずスタートプレーヤーが転がしたダイスを一つ使った残りのダイスを他のプレーヤーはコイン1枚共通の市場に払って使用できます。一回りしたら左のプレーヤーがまた4個ダイスを転がし,本人は無料で,他のプレーヤーはコイン1枚で使えます。また,スタートプレーヤに戻ったら,今度はコイン1枚掛けてまたダイスを転がす・・・,と,ダイスを転がす手番が戻ってくる度にコストは上がりますが,全ての駒を置ききるか,パスをするまで続きます。後半,駒が多くなると結構2〜3周ぐらいすることも。

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最初の8個は,兵舎に2個,市場に2個,神殿に2個配置。兵舎は他のプレーヤーへの攻撃を仕掛ける場所。手持ちのカードで,まず攻撃相手を決め,一斉にオープンします。

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攻撃相手が決まったら,今度は追加傭兵カードを出し,一斉にオープンします。兵舎に配置したコマ数を見て,手札から0〜4までの兵力の追加をします。0以外は全て使い切るまで手札に戻らないので,慎重に見極めが必要です。ここでは,自分は左のALBA LONGA国を攻め,兵士2駒と追加3で5の力で攻めようとしましたが,2足りず攻めきれず,逆に青と赤から攻められ,国を荒らされてしまいました。攻撃力と防御力の差に応じて,自分の国の駒が取り除かれてしまいます。例えば3〜5の差だと2個やられるといった感じ。ただ,数の差分やられるわけではなく,最大5個までで,市場や農場では完全に取り除かれるわけではないので,壊滅的な打撃にはならずに済みます。それでも,確実に国の発展を阻害できるので戦いも必要ですが,戦闘に力を注ぎすぎると勝利条件を達成するのに時間がかかり,全員負けとなる可能性も(7年分の天候カードがなくなっても勝利条件を達成していないと全国家滅びるのです)。(

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写真取り損ねですが,兵舎の下の市場がお金を手に入れる場所。お金は最初の駒の配置に欠かせないので常に銀貨数枚分は持っていたいのです。市場に置いてある駒の数で銀貨1枚〜3枚手に入り,さらに,駒の配置で置かれた中央の市場の銀貨もこの市場の駒数に応じた順位で手に入ります。ここに駒を置かないと1枚も銀貨が手に入りません。また,戦闘で敗れても,市場の最後の駒は取り除かれず,傷つき横になって市場の銀貨はもらえませんが,中央の市場の銀貨は確保ができます(あれば)。一番下の石切場は,勝利条件である記念碑を建設する場所。駒2個につき,1個の記念碑を建てれます。2個ないと建てれないので,後半は特に相手のここの駒を戦闘で削ることが作戦上必要になってきます。

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1年の後半の収穫期は穀物畑にも小作人駒を置きます。穀物は1年の最後に,小作人駒に与えなくてはなりません。足りないと小作人駒が減ってしまうし,余ると追加の小作人駒がもらえるので重要です。ここでも戦闘で敗れて2人小作人駒が倒れていますが,この畑の駒も取り除かれることはなく,けがをして倒れた状態。後の収穫量が1減ります。右下の神殿は,穀物の収穫に影響を与える価値をためる場所。穀物の収穫量は3種類の天候による基本量(1駒あたり2〜4)と,神が求める神殿の価値の数で1駒あたり1増やせるのです。さらに神殿の価値があまっていれば,追加の恩恵も受けることができます。

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しっかり写真に撮ってないので見にくいですが,中央の市場の右にあるのが天候カード。あらかじめその年の天候は分かるので,心の準備はできます。後は神への祈りで価値を高めて,恩恵を受ける余裕を作って置くことや,穀物をたくさん収穫して小作人駒を増やしていくことが大事です。ここまで,追いつ追われつのきわどい攻防で戦ってきました。

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そして,誰か一人でも小作人駒16人以上かつ,記念碑10個建てるとその年の終わりの決算で終了。今回は3人とも条件を達成し,住民の数勝負になりましたが,自分が26人の小作人を抱え見事国家の繁栄を勝ち取り,隣国に勝ったのでした。天晴れ!

なかなかやりがいのある好きな作品です。序盤はコマ数もままならず,記念碑を建てるどころではないので,この状態で勝利条件など達成できるだろうかと思いましたが,穀物生産が増え,小作人駒も増えて,拡大していくと,終盤は動きが大きくなり,一度に数個の記念碑を建てることも可能で,一気に収束していくところなどとても気持ちが良いです。直接攻撃が嫌いな人もあるかもしれませんが,攻撃されても最低限のアクションはできますし,勝利条件達成のためには,攻撃ばかりしているわけにはいかないのでバランスも求められます。後半は,勝ち逃げされそうなプレーヤーの記念碑建設阻止に,攻撃は有効に働くので最後までゲームが接戦になるおもしろさも持っています。一つ一つのアクションがそれぞれ意味を持って結びついているので,どこかに重点的にというよりも,バランスの良い戦略を練っていくことが求められる,重厚で楽しい戦略的ゲームでした。
※2012.5.14

アルバ・ロンガ(Alba Longa) ゲームデータ

アルバ・ロンガ
○デザイン Graeme Jahns
○発  表 2011年
○メーカー Quined Games
○2〜5人用 約90分
○難易度  やや高め
○あみあみで購入